SingularityU Japan Summit

大島 眞彦 三井住友銀行 専務執行役員 取締役

将来(2030年〜2040年)、貴社の社会での役割はどのようになるとお考えですか。

金融機関はもとよりテクノロジーに立脚したビジネスですが、昨今の技術はすぐに陳腐化・コモディティ化していくため、新しい技術をいち早く試行錯誤しながら取り入れることが必要です。事業領域としても、従来の業務領域の枠を超えて新しい事業を創出することが重要だと考えています。本年4月の銀行法改正は、制度としても金融機関の他業界への進出を後押しするものとの認識です。実際にSMFG/BCは、技術を有する外部企業とジョイントベンチャーを設立し、生体認証を用いた本人確認プラットフォームや電子バーコードを用いた収納サービスの事業を開始しております。

金融という領域に縛られることなく、世の中に溶け込んだサービスを提供していきたいと考えています。ユーザーはもしかしたらSMFG/BCのサービスを使っていることを認識していないかもしれないが、裏側では我々のサービスが浸透している。そのようなプラットフォーマー的な事業を次々に生み出していくことを展望しています。

貴社が将来焦点を当てるとお考えのテクノロジーとビジネス領域は。

我々のお客様は製造業やサービス業など全ての領域に跨っています。その意味では全ての技術を広くフォローする必要があります。

一方で、SMFG/BC自身のイノベーションを念頭に置いた場合は、IoTやAIが大きく世界を変える可能性があると考えております。

これまで得られなかったデータを、これまでは不可能であった方法で分析することが可能となるでしょう。分析の元となるデータの多様性や、分析に関するノウハウ・ロジックが企業の競争力を左右する可能性があります。また、ブロックチェーンについても、企業のビジネスプロセスのあり方を変える可能性があるとの認識です。

我々のグループの調査・研究・事業開発を担うITイノベーション推進部に担当グループを設置し、必要に応じ実証実験を行っているところです。

サミットへ参加することにより、期待することは。

ここ数年の人工知能技術の目覚ましい発展を見ていると、人工知能が人間の能力を超えるという「シンギュラリティ」は当初予測されていた2045年より前倒しになる可能性すら感じています。日々の業務やサービスの改善ももちろん必要ですが、志高い従業員には長期的なビジョンを持ち続けてほしいと考えています。顕在化しているニーズに対応するというより、我々としてあるべき金融の姿を描いたうえで、その実現に向けて手を打っていく姿勢が重要です。

シンギュラリティ大学の教授陣の講義やインタラクティブなワークショップを通じて、参加する20名が、技術が指数関数的に成長して社会を短期間で一変させてしまう現実にまず気づくこと、そのうえで「未来がつまった種」を持ち帰ってきてSMFG/BCのなかで広く蒔いてくれる人材に成長することを期待しています。

今回のサミットのテーマ「日本の未来を共に形づくる」が将来実現するか、どのようにお考えですか。

日本経済は、ディスラプトではなく協調して進歩することが得意な気質があると思っています。「オープンイノベーション」という言葉が広く使われるようになり、ベンチャーへの注目が高まっていますが、大企業間のオープンイノベーションもますます重要になってきます。特に未来に向けたプロジェクトを動かす場合、お互いに緊密な信頼関係と長期間のプロジェクトに耐えうるコミットメントが必要となります。今回のサミットのような多様な大企業が参加するクローズドなサークルで、じっくり腰を据えたオープンイノベーションが生まれるのではないかと期待しています。

大島 眞彦 / Masahiko Oshima

三井住友銀行 専務執行役員 取締役

1984年入行。
本店営業第五部長、欧阿中東本部長兼欧州三井住友銀行社長、国際部門副責任役員を経て現職。
ITイノベーション推進部の他、広報部・経営企画部・財務企画部・関連事業部・トランザクションビジネス本部を担当。